自宅サロンを経営されている皆さん、確定申告の時期が近づくと「何から手をつければいいの?」「どんなものが経費になるの?」と不安になりますよね。
特に自宅でサロンを開いている場合、家で使っているものと仕事で使っているものの区別や、申告の手順など、分からないことがたくさんあるかもしれません。
でも安心してください。
この記事を読めば、自宅サロンの確定申告で経費にできるものが具体的にわかり、申告の手順もステップごとに理解できます。
難しい専門用語は使わず、初心者の方でも「これならできる!」と思っていただけるように、分かりやすく解説していきます。
この記事を最後まで読んで、確定申告への不安を解消し、正しく節税につなげましょう。
自宅サロンの確定申告で経費にできるもの全リスト【具体例つき】
確定申告で税金を計算する際、売上から「経費」を差し引くことで、税金がかかる対象となる所得を減らすことができます。
つまり、経費を正しく計上することは、税金負担を軽くするためにとても大切です。
では、自宅サロンでは具体的にどのようなものが経費として認められるのでしょうか。
この章では、自宅サロンの運営で発生する様々な費用の中から、経費にできるものを具体的な例を挙げながらご紹介します。
サロン運営にかかる代表的な経費項目
自宅サロンの運営に直接かかる費用は、ほとんど経費として計上できます。
例えば、お客様に施術で使う化粧品やシャンプー、パーマ液などの消耗品費は、使用するたびに消費されるものとして経費になります。
ハサミやドライヤー、タオル、ブラシ、鏡などの備品購入費も、事業に必要なものとして経費になります。
お客様に出すお茶やお菓子、雑誌などの購入費用は接待交際費や新聞図書費として認められることがあります。
サロンで使用する電気やガス、水道料金の一部も経費となりますが、これは自宅と共用している場合、家事按分という計算が必要です(家事按分については後の章で詳しく説明します)。
お客様との連絡や情報収集に使う通信費の一部なども経費となります。
意外と知らない自宅サロン特有の経費
自宅サロンならではの経費もあります。
例えば、自宅サロンの開業にあたってかかった内装工事費用や改装費用の一部、サロンで使用する家具やインテリアにかかった費用なども減価償却費として数年間にわたって経費にできる場合があります。
減価償却とは、高額な資産(例えば10万円以上のもの)を一度に経費にするのではなく、使用できる期間に応じて分割して経費にしていく会計処理のことです。
技術向上のためのセミナー受講費や、美容に関する書籍購入費なども、事業に必要な知識を得るための支出として経費になります。
自宅の一部をサロンとして使用している場合の固定資産税の一部や、火災保険料、地震保険料の一部なども、事業用部分に対応する金額を経費に含めることが可能です。
自宅で仕事をするために購入したパソコンやプリンター、スマートフォンなども、使用割合に応じて経費とすることができます。
これって経費になる? 判断のポイント
その支出が「事業を行うために必要なものか」という視点で判断しましょう。
例えば、自分自身のプライベートな化粧品や衣服は経費になりませんが、サロンでお客様に使用する化粧品や、サロンで着用する仕事着は経費になります。
高額な備品(目安として10万円以上)は、一度に経費にせず、数年に分けて経費にする減価償却が必要になることが多いです。
判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談するのが最も確実です。
経費にするために必要な証拠書類について
経費として計上した支出は、税務署から確認を求められることがあります。
そのため、経費の証拠となる書類をきちんと保管しておくことが非常に重要です。
最も一般的な証拠書類は、お店からもらう領収書やレシートです。
これらの書類には、日付、金額、支払い先、購入内容が記載されている必要があります。
クレジットカードで支払った場合は、利用明細書やカード会社の請求書も証拠となります。
銀行振込の場合は、振込明細書などが証拠となります。
これらの書類は、原則として7年間保管する義務がありますので、大切にまとめておきましょう。
自宅サロンならではの経費計算方法 家事按分を理解する
自宅の一室などをサロンとして使っている場合、家賃や光熱費、通信費など、プライベートと事業の両方で使っている費用が出てきます。
このような費用をすべて経費にしてしまうと、税務署から指摘を受ける可能性があります。
そこで必要になるのが「家事按分」という考え方です。
家事按分とは、一つの支出を事業用とプライベート用に合理的な基準で分けることを言います。
家事按分とは?自宅サロンの場合の考え方
家事按分とは、自宅サロンのように一つの場所や設備を事業と生活の両方で使用している場合に、その費用を事業で使った分とプライベートで使った分に分ける作業のことです。
例えば、自宅家賃の一部をサロンの経費にしたい場合、自宅全体の面積のうちサロンとして専用で使用している面積の割合に応じて家賃を按分します。
光熱費の場合は、サロンの営業時間や使用する電力・ガス量などを考慮して按分します。
この按分比率は、税務署に対して合理的に説明できる根拠に基づいて設定する必要があります。
家賃や光熱費の按分計算方法と適切な割合
家賃を按分する場合、最も一般的なのは面積で按分する方法です。
例えば、自宅全体の床面積が100平方メートルで、そのうちサロンとして専用で使用しているスペースが20平方メートルなら、家賃の20パーセントを事業用経費とすることができます。
これは「面積按分」と呼ばれます。
光熱費の場合は、使用時間やコンセントの数などを考慮して按分する方法や、面積比率で按分する方法などがあります。
例えば、一日のうちサロンとして使用する時間が8時間であれば、光熱費全体の3分の1(24時間÷8時間)を事業用とする、といった時間按分の考え方もできます。
明確に「この割合が正しい」と決められているわけではありませんが、税務署に説明できる客観的な根拠を示すことが重要です。
通信費やその他費用の家事按分例
電話料金やインターネット料金といった通信費も、自宅サロンでは家事按分の対象となることが多い費用です。
仕事で使う時間とプライベートで使う時間の比率や、仕事専用の電話番号がある場合はその料金などで合理的に按分します。
例えば、仕事での通話時間が全体の半分であれば、通信費の50パーセントを経費とします。
また、自宅サロンの建物にかかる固定資産税や火災保険料、地震保険料なども、建物の使用面積に応じて家事按分して経費とすることができます。
このように、自宅兼サロン特有の費用は、家事按分を正しく行うことが経費計上の鍵となります。
家事按分の計算根拠を準備しよう
家事按分の計算根拠として使えるものは様々です。
面積按分なら、自宅の間取り図にサロン部分を明記したり、不動産の賃貸契約書で面積を確認したりできます。
時間按分なら、日々の営業時間や使用時間を記録したメモやタイムカードなどが根拠になります。
光熱費の場合は、サロンで使用する機器のワット数を調べたり、専用メーターを設置したりするのが理想ですが、難しい場合は過去数ヶ月の利用状況から平均的な事業利用割合を算出するなども考えられます。
どんな方法であれ、なぜその比率にしたのかを説明できる状態にしておきましょう。
確定申告の種類と経費計上の関係を知る
確定申告には主に「白色申告」と「青色申告」の二種類があります。
自宅サロンを始めたばかりの方は、どちらを選べば良いか迷うかもしれません。
特に経費の計上において、この二つの申告方法には違いがあります。
ここでは、白色申告と青色申告の基本的な違いと、経費計上において青色申告が有利になる点について解説します。
白色申告と青色申告の基本的な違い
白色申告は、事前の届出が不要で、帳簿付けも比較的簡単な方法です。
売上や経費を日付順に記録する簡易な帳簿(単式簿記)で申告できます。
一方、青色申告を行うには、事業開始から2ヶ月以内、または青色申告をしたい年の3月15日までに、税務署へ「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
青色申告では、白色申告よりも詳しい帳簿(複式簿記が基本ですが、簡易簿記でも可能な場合があります)をつける必要がありますが、その代わりに税金面で多くのメリットを受けることができます。
経費計上における青色申告のメリット
青色申告の最大のメリットの一つは、「青色申告特別控除」という特別な控除を受けられることです。
これは、日々の取引をきちんと複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を作成して申告期限内に提出すれば、所得から最大65万円を差し引ける制度です。
簡易簿記の場合や、申告期限に遅れた場合でも、10万円の控除を受けることができます。
この控除は、経費とは別に所得から差し引けるため、大きな節税につながります。
また、青色申告では、家族に支払った給与を一定の要件のもと全額経費にできる「青色事業専従者給与」の制度を利用できたり、事業で赤字が出た場合にその赤字を翌年以降3年間にわたって所得から差し引ける「純損失の繰越控除」を利用できたりします。
これらのメリットを最大限に活かすためには、正確な経費の管理と帳簿付けが重要になります。
自宅サロン経営者はどちらを選ぶべきか
自宅サロンを始めたばかりで、まずは簡単に申告を済ませたいという方は白色申告でも良いでしょう。
しかし、事業を継続していく意思があり、将来的な節税を考えたいのであれば、青色申告を選択することをおすすめします。
確かに青色申告は白色申告に比べて帳簿付けの手間はかかりますが、最近は弥生会計、freee、マネーフォワードクラウド確定申告といった使いやすい会計ソフトがたくさんあり、それほど難しくありません。
特に青色申告特別控除のメリットは大きく、自宅サロンの経営を本格的に行うなら、ぜひ検討したい選択肢です。
経費と控除の違いって?
「経費」は事業の売上を得るためにかかった費用のことです。
「控除」は、経費を差し引いて計算した所得金額から、さらに差し引くことができる金額のことです。
例えば、社会保険料や生命保険料、扶養家族がいる場合の扶養控除などがあります。
青色申告特別控除もこの控除の一つです。
どちらも所得を減らして税金を安くするという点は同じですが、経費は事業に必要な支出、控除は個人的な状況や特定の支出などによって受けられるもの、という違いがあります。
確定申告の経費準備 これだけはやろう必要な書類と整理方法
確定申告をスムーズに進めるためには、事前の準備が非常に大切です。
特に経費に関する書類の準備と整理は、正確な申告のために欠かせません。
この章では、確定申告に必要な書類全体像と、経費の証拠となる書類をどのように管理すれば良いか、具体的な方法をご紹介します。
確定申告に必要な書類全体像
確定申告には、ご自身の売上を証明する書類(売上帳など)と、経費を証明する書類(領収書、レシート、請求書、銀行明細、クレジットカード利用明細など)が基本となります。
これらに加えて、生命保険料控除証明書や国民健康保険料・国民年金保険料の支払証明書、ふるさと納税の寄附金受領証明書、医療費控除の明細書など、所得から差し引くことができる控除に関する書類も必要になります。
青色申告の場合は、事前に提出した開業届や青色申告承認申請書の控え、そして日々の取引を記録した帳簿や、作成した決算書(損益計算書、貸借対照表など)が必要になります。
準備する書類のリストは以下のようになります。
- 売上に関する記録(売上帳、請求書控えなど)
- 経費に関する証拠書類(領収書、レシート、クレジットカード明細、銀行振込明細など)
- 各種控除に関する証明書類(生命保険料控除証明書、社会保険料控除証明書、寄附金受領証明書など)
- マイナンバーカードや本人確認書類
- (青色申告の場合)帳簿、決算書(損益計算書、貸借対照表)
経費の証拠となる領収書やレシートの管理方法
経費の証拠となる領収書やレシートは、ため込まずに日頃から整理しておくことが重要です。
効果的な管理方法としては、まず事業用とプライベート用の支出を明確に分けます。
事業用の領収書やレシートは、日付順に並べたり、経費の科目(消耗品費、通信費など)ごとに分けたりして整理します。
ノートに貼り付けたり、封筒に入れたり、クリアファイルに入れたりするなど、自分が継続して管理しやすい方法を選びましょう。
可能であれば、スマートフォンアプリやスキャナーを使ってデジタルデータとして保存しておくことも、紛失防止や検索性の向上に役立ちます。
帳簿付けの基本 これから始める自宅サロン経営者へ
確定申告、特に青色申告をするためには、日々の取引を帳簿に記録する必要があります。
難しそうに感じるかもしれませんが、最近では使いやすい会計ソフトがたくさんあります。
これらのソフトを使えば、売上や経費の情報を入力するだけで、自動的に帳簿が作成され、確定申告に必要な書類(決算書や申告書)も簡単に作れるようになります。
簿記の知識がなくても使えるソフトもありますので、活用を検討しましょう。
日々の取引を記録することは、ご自身のサロン経営が今どんな状況なのか(儲かっているのか、使いすぎている費用はないかなど)を把握するためにも非常に役立ちます。
領収書をなくしてしまったら?
原則として領収書が必要ですが、どうしても手に入らない場合は、出金伝票を作成するという方法があります。
出金伝票には、「いつ」「誰に」「何のために」「いくら」支払ったのかを具体的に記載します。
交通費の電車賃など、領収書が出ない場合に利用されることが多いです。
ただし、出金伝票ばかりだと信憑性が低くなる可能性もあるため、できる限り領収書をもらう努力をすることが大切です。
自宅サロン経営者のための確定申告具体的な申告手順ステップバイステップ
経費の準備ができたら、いよいよ確定申告書を作成して提出する段階です。
初めての確定申告は特に、どこから手をつければ良いのか戸惑うかもしれません。
ここでは、自宅サロン経営者が確定申告を完了させるための具体的な手順を、ステップを追って分かりやすく解説していきます。
申告書作成の準備と流れ全体像
確定申告書を作成する前に、まずは必要な書類(売上や経費の集計、各種控除証明書など)を全て手元に揃えます。
次に、どの方法で申告書を作成するかを決めます。
主に、国税庁のホームページにある確定申告書等作成コーナーを利用する方法、市販の会計ソフトを利用する方法、税理士に依頼する方法などがあります。
自宅で申告書を作成する場合、国税庁の作成コーナーは無料で利用でき、画面の案内に従って入力するだけで申告書が作成できるためおすすめです。
確定申告の主な手順は以下のようになります。
- 必要な書類(売上・経費の集計、控除証明書など)を全て揃える。
- 申告書の作成方法を選ぶ(国税庁HP、会計ソフト、税理士など)。
- 売上や経費、各種控除などの金額を申告書に入力(または記載)する。
- 所得税額や還付金が計算される。
- 申告書を税務署に提出する。
- 納税が必要な場合は期日までに納付する(還付の場合は待つ)。
税務署e-Tax国税庁HPでの申告書作成手順
国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーを利用する場合、まずはサイトにアクセスし、「作成開始」を選びます。
申告する年分を選択し、提出方法(e-Taxまたは書面提出)を選びます。
その後、所得の種類(事業所得など)を選んで入力に進みます。
画面の指示に従って、事前に集計しておいた売上金額や必要経費の金額を順番に入力していきます。
家事按分した経費は、按分後の事業用の金額を入力します。
必要経費の入力が終わると、所得金額が自動で計算されます。
次に、生命保険料控除や社会保険料控除など、各種所得控除の金額を入力します。
すべての入力が終わると、納める税金または戻ってくる還付金の金額が計算され、申告書が完成します。
作成した申告書は、マイナンバーカード方式やID・パスワード方式でe-Tax送信するか、PDFとして印刷して郵送または持参して提出します。
郵送または窓口での申告方法
作成した確定申告書を印刷して提出する場合、郵送または税務署の窓口に持参する方法があります。
郵送の場合は、管轄の税務署宛てに信書便(郵便物または信書便物)で送付します。
申告書の控えが必要な場合は、申告書と控え、そして返信用封筒(切手を貼付し、ご自身の宛名を記載したもの)を同封します。
窓口に持参する場合は、税務署の開庁時間内に提出します。
窓口では、その場で形式的なチェックをしてもらえることもありますが、内容に関する詳しい相談は、確定申告の相談期間中は非常に混み合いますので注意が必要です。
e-Taxで申告するメリット
e-Tax(イータックス)とは、インターネットを利用して確定申告の手続きができるシステムです。
e-Taxで申告すると、自宅から税務署に行かずに提出できる、添付書類の一部を省略できる(生命保険料控除証明書など)、還付金がスピーディーに振り込まれるといったメリットがあります。
自宅サロンなら時間や場所を選ばずに申告できるe-Taxが便利でおすすめです。
利用にはマイナンバーカードと対応したスマートフォンやICカードリーダーが必要になる場合があります。
申告後の流れと注意点
確定申告書を提出し終わったら、それで全て完了ではありません。
もし納税が必要な場合は、定められた期限(通常は申告期限と同日)までに税金を納付する必要があります。
納付方法には、振替納税(事前に手続きが必要)、電子納税(e-Tax利用)、金融機関や税務署の窓口での現金納付など様々な方法があります。
還付金がある場合は、申告書に記載した銀行口座に通常は数週間から1ヶ月程度で振り込まれます。
申告期限ぎりぎりに慌てないよう、余裕を持って準備と申告を行いましょう。
申告内容に誤りがあった場合は、後から訂正申告(税金が増える場合)や更正の請求(税金が減る場合)を行うことも可能ですが、最初から正確に申告することを心がけましょう。
確定申告で経費計上する際のよくある間違いと注意点
確定申告の経費計上は、正しく行えば節税につながる重要な作業ですが、誤った知識や思い込みから間違いを犯しやすい部分でもあります。
特に自宅サロン経営者の場合、プライベートな支出と事業用の支出が混在しやすいという特徴があります。
ここでは、確定申告で経費計上する際によくある間違いと、それを防ぐための注意点をご紹介します。
プライベートな支出を混同してしまうケース
自宅サロン経営で最も起こりやすい間違いの一つが、プライベートな支出と事業用の支出を区別せずに、何でも経費として計上してしまうことです。
例えば、家族で使う食料品や日常の洋服代、個人的な趣味にかかる費用などは、事業とは関係のないプライベートな支出であり、経費にはできません。
経費として認められるのは、あくまで事業を行うために直接的または間接的に必要な費用のみです。
判断に迷う場合は、その支出が事業の売上にどう繋がるのか、または事業運営にどう貢献するのかを考えてみることが重要です。
領収書がない経費の扱いに注意する
経費を計上する際の原則は、領収書やレシートなどの証拠書類を保管しておくことです。
しかし、場合によっては領収書がもらえないこともあります。
例えば、交通費のうち電車賃などです。
このような場合は、出金伝票を作成するなどして、いつ、どこへ、何のために、いくら支払ったのかを具体的に記録に残しておく必要があります。
ただし、何でも出金伝票で済ませてしまうと、税務署から信憑性を疑われる可能性もありますので、できる限り領収書をもらうように心がけましょう。
按分計算が不明確な場合の指摘リスク
自宅サロンの家賃や光熱費などを家事按分する場合、その計算根拠が不明確だと税務署から指摘を受けるリスクが高まります。
「なんとなくこのくらいだろう」と感覚で按分するのではなく、使用面積や使用時間など、客観的に説明できる合理的な根拠に基づいて計算することが重要です。
例えば、サロンとして使用している部屋の間取り図や写真、電気メーターの検針記録、事業で使用した時間記録などを保管しておくと、根拠を示すための準備になります。
適切な根拠に基づいた按分を行いましょう。
申告漏れを防ぐための最終チェック
確定申告書を提出する前に、入力内容に間違いがないか、経費の計上漏れがないかなどを必ず最終チェックしましょう。
特に、一年間の領収書やレシート、通帳などを再度見返し、経費として計上できるものが抜けていないか確認します。
また、社会保険料控除や生命保険料控除など、経費以外で税金が安くなる「所得控除」についても、証明書類が揃っているか、入力漏れがないかを確認します。
慣れないうちは、税務署の相談窓口を利用したり、税理士に相談したりすることも有効です。
間違えた場合のペナルティ
確定申告の内容に誤りがあり、税金が少なかったり申告をしていなかったりした場合、後から税務署から指摘を受けて追加で税金を納めることになります。
この追加の税金には、本来納めるべき税金に加えて、「過少申告加算税」や「無申告加算税」、「延滞税」といったペナルティが課されることがあります。
意図的な隠ぺいなど悪質な場合は、「重加算税」というさらに重いペナルティが課されます。
故意でなくても、間違いにはペナルティが発生することがあるため、正確な申告を心がけましょう。
経費計上を正しく行い自宅サロン経営の税負担を軽減する
経費を正しく計上することは、確定申告の義務を果たすだけでなく、自宅サロン経営における税金負担を適正に抑えることにつながります。
ここでは、経費計上がどのように税金計算に影響するのか、そして正しい経費管理がなぜ節税につながるのかを改めて確認します。
経費計上による税金計算への影響
納める所得税や住民税は、売上そのものにかかるのではなく、「売上から必要経費を差し引いた所得」に対してかかります。
つまり、経費を多く計上するほど所得金額は少なくなり、それに伴って税金の計算の元となる金額が減るため、結果として納める税金も少なくなります。
所得の計算式は単純に言うと「売上収入 - 必要経費 = 所得」です。
さらに、この所得から扶養控除や社会保険料控除などの所得控除が差し引かれ、その金額(課税所得)に対して税率をかけて税金が計算されます。
したがって、漏れなく適切に経費や控除を計上することが、合法的な節税の基本となります。
節税につながる正しい経費管理の重要性
正しい経費管理は、単に税金を安くするためだけでなく、自宅サロンの経営状態を正確に把握するためにも重要です。
何にどれだけお金を使っているのかを把握することで、無駄な支出を見つけたり、もっと投資すべき部分(例えば集客のための広告費など)を判断したりすることができます。
また、日頃からしっかりと経費を管理し、帳簿をつけておくことで、確定申告の時期に慌てることなく、スムーズに手続きを進めることができます。
これは時間と精神的な負担の軽減にもつながります。
税理士など専門家への相談も視野に入れる
自宅サロン経営が大きくなってきた場合や、経費や税金についてもっと詳しく知りたい、自分でやるのは不安だという場合は、税理士に相談することも検討しましょう。
税理士は税金の専門家として、適切な経費計上のアドバイスや、日々の帳簿付けのサポート、確定申告書の作成代行などを行ってくれます。
費用はかかりますが、専門家のサポートを受けることで、より正確な申告ができ、最大限の節税効果を得られる可能性があります。
税理士に相談するタイミング
まだ売上が少ない段階では自分で対応することも可能ですが、以下のような場合は税理士への相談を検討する良いタイミングかもしれません。
・売上が大きくなってきた(目安として年商500万円以上など)
・経費の項目が増えてきて管理が大変になってきた
・青色申告で最大限の控除を受けたいが、複式簿記が難しく感じる
・税務調査が不安だ
税務署の無料相談や商工会などの相談サービスも活用してみましょう。
まとめ
この記事では、自宅サロン経営者の方向けに、確定申告で経費にできるもののリストや、自宅ならではの家事按分の方法、そして具体的な申告の手順について解説しました。
確定申告は難しそうに感じるかもしれませんが、経費に関する正しい知識を持ち、必要な書類をきちんと準備し、一つずつ手順を踏んでいけば、決して怖いものではありません。
自宅サロンで経費にできるのは、サロン運営に直接かかる消耗品費や備品代、広告費などに加えて、家賃や光熱費、通信費といった自宅と共用している費用の一部も家事按分することで経費にできます。
経費計上には領収書などの証拠書類の保管が不可欠であり、日頃からの整理が大切です。
申告は国税庁のホームページを活用すれば、画面の案内に沿って進められます。
初めてで不安な場合は、税務署の相談窓口や専門家の助けを借りることも可能です。
この記事を読んで、確定申告への第一歩を踏み出していただければ幸いです。
正しい経費計上で、賢く税金と向き合い、自宅サロン経営を成功させましょう。
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