MENU

インボイス制度でネイルサロン経営が難しいと辞めたい?登録から価格設定までの具体的な方法

インボイス制度の開始で「手続きが複雑でわからない」「お客様が減るかもしれない」「もういっそ辞めたい…」と、多くのネイルサロン経営者様が頭を抱えているのではないでしょうか。

特に、個人で経営されているサロンにとっては、経営がさらに難しくなったと感じるかもしれません。

しかし、正しい知識を身につけ、一つずつ手順を踏んでいけば、この変化は必ず乗り越えられます。

この記事では、専門用語を一切使わず、インボイス制度の基本から、具体的な登録方法、お客様に納得してもらえる価格設定の見直し方まで、あなたが今すぐに行動できる具体的なステップを詳しく解説します。

辞めたいと決断する前に、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

結論からお伝えします!インボイス制度を理由にネイルサロンを辞めるのはまだ早い

時間がなくてすぐに答えが知りたい、というあなたのために、まず結論からお伝えします。

インボイス制度は確かに複雑で、ネイルサロン経営を難しくする一因ではあります。

しかし、いくつかのポイントを押さえて正しく対応すれば、経営を続けることは十分に可能です。

大切なのは、ご自身のサロンの状況を正確に把握し、最適な選択をすることです。

コラム:そもそも「課税事業者」と「免税事業者」って何が違うの?

ネイルサロン経営とインボイス制度を理解する上で、この2つの言葉は非常に重要です。

  • 課税事業者お客様から預かった消費税を国に納める義務がある事業者のこと。年間の課税売上高が1,000万円を超えると、自動的にこちらに該当します。インボイスを発行できるのは課税事業者だけです。
  • 免税事業者年間の課税売上高が1,000万円以下で、消費税を納める義務が免除されている事業者のこと。多くの一人経営のネイルサロンがこれに該当します。

インボイス登録をするという決断は、「免税事業者」から「課税事業者」になるという決断とほぼ同じ意味を持ちます。

インボイス制度への対応方法は一つではなく、あなたのサロンに合った選択肢があります

インボイス制度への対応は、全てのネイルサロンが一律に「登録しなければならない」というわけではありません。

お客様の層、例えば、一般の個人客が多いのか、それとも経費で落としたい法人や個人事業主のお客様もいるのかによって、取るべき対策は変わってきます。

売上が1,000万円以下の場合、インボイス登録をしない「免税事業者」のままでいるという選択も可能です。

まずはご自身のサロンの顧客層や売上規模をしっかりと見つめ直し、どの選択が最もメリットが大きいのかを考えることが、難しいネイルサロン経営を乗り切るための第一歩となります。

具体的な手続きは会計ソフトを使えば意外と簡単にできるので安心してください

「インボイス登録って、税務署に行って難しい書類をたくさん書くのでは?」と不安に思うかもしれません。

しかし、現在ではオンラインで簡単に申請が完了します。

特に、「freee会計」や「マネーフォワード クラウド確定申告」といったクラウド会計ソフトを利用すれば、案内に従って入力するだけで、インボイス制度に対応した請求書や領収書の発行、そして確定申告の準備まで、驚くほどスムーズに行うことができます。

これらのサービスは月額数千円から利用でき、税理士に依頼するよりもコストを抑えながら、経理の負担を大幅に減らすことが可能です。

価格設定の見直しは、お客様との信頼関係を深めるチャンスにもなり得ます

インボイス制度に対応するために消費税分の値上げを検討する場合、お客様が離れてしまうのではないかと心配になるでしょう。

しかし、伝え方次第では、むしろお客様との信頼関係を深める機会に変えることができます。

正直に「インボイス制度への対応のため」と理由を説明し、今後もより良いサービスを提供していくための価格改定であることを丁寧に伝えることが重要です。

例えば、ニュースレターや店内のポップ、施術中の会話などで、誠意をもって説明することで、多くのお客様は理解を示してくださるはずです。

そもそもインボイス制度とは何か?ネイルサロン経営になぜ影響があるのかをわかりやすく解説

「インボイス」という言葉はよく聞くけれど、一体何のことなのか、なぜネイルサロンに関係があるのか、実はよく分かっていないという方も多いのではないでしょうか。

ここでは、制度の基本を誰にでも理解できるように、専門用語を使わずに解説します。

この基本を知るだけで、今後の対策がぐっと立てやすくなります。

コラム:インボイス(Invoice)は「送り状」という意味

インボイスは英語で「Invoice」と書き、元々は貿易などで使われる「送り状」や「納品書」「請求書」を指す言葉です。

今回の制度では、正確な消費税額などを記載した「適格請求書」のことを指します。

国としては、この制度を導入することで、誰が誰に、いくらの消費税を支払ったのかを正確に把握し、公平な税金の徴収を目指すという目的があります。

インボイス制度とは新しいルールの領収書や請求書のことだと考えましょう

インボイス制度とは、簡単に言うと「消費税の計算を正確にするための、新しい形式の領収書(請求書)のルール」です。

これまでは、どんな形式の領収書でも良かったのですが、これからは国が定めた特定の項目が記載された「インボイス(適格請求書)」でなければ、取引先が消費税の計算上、少し損をしてしまう可能性がある、というルールに変わりました。

このインボイスを発行できるのは、事前に税務署に申請して登録番号をもらった事業者だけです。

ネイルサロンのお客様が経費で処理する場合に大きな影響が出てきます

あなたのネイルサロンのお客様が、すべて一般の個人の方であれば、実はインボイス制度はほとんど関係ありません。

問題となるのは、お客様が会社経営者や個人事業主で、ネイルの施術代を「福利厚生費」や「美容代」として経費で処理している場合です。

そのお客様は、あなたのサロンからインボイスをもらえないと、支払った消費税分を経費として計上できなくなり、結果的に納める税金が増えてしまいます。

そのため、インボイスを発行できないサロンを避けて、発行できる他のサロンに移ってしまう可能性が出てくるのです。

材料の仕入れ先との関係でもインボイス制度は関わってきます

影響があるのはお客様との関係だけではありません。

あなたがネイルの材料を卸業者から仕入れている場合も同様です。

もし、あなたが消費税を納める「課税事業者」である場合、仕入れ先からインボイスをもらえないと、あなたが納める消費税の負担が増えてしまいます。

逆に、あなたがインボイスを発行しない「免税事業者」のままでいる場合、取引先である法人や課税事業者のネイリストから、取引を敬遠されてしまう可能性もゼロではないのです。

インボイス制度がネイルサロン経営をこれまでの何倍も難しくする具体的な理由

これまでも簡単ではなかったネイルサロン経営が、インボイス制度によってなぜさらに難しくなると言われているのでしょうか。

その具体的な理由を3つの側面に分けて見ていきましょう。

漠然とした不安の正体を突き止めることで、具体的な対策が見えてきます。

コラム:インボイス対応で増える経理作業の具体例

「経理作業が増える」と言われてもピンとこないかもしれません。具体的には以下のような作業が必要になります。

  • インボイスの要件を満たした請求書・領収書フォーマットの準備
  • 取引ごとに正確な消費税率(10%または8%)を記載
  • 発行したインボイスの控えを7年間保存する義務
  • 消費税の申告・納税の計算(原則課税または簡易課税)

これらの作業を一人でこなすのは、大きな負担増に繋がる可能性があります。

お客様が離れてしまうかもしれないという売上減少の恐怖がつきまといます

最も大きな不安は、やはり売上への影響でしょう。

前述の通り、経費で処理したいお客様にとって、インボイスを発行できないサロンは魅力的ではありません。

「あそこのサロンはインボイスに対応していないから、経費で落ちないなら別のサロンにしよう」と考えるお客様が現れる可能性があります。

特に、モデルや芸能関係、企業の役員など、美容代を経費として扱うことが多い顧客層を抱えているサロンにとっては、死活問題になりかねない、非常に難しい経営判断を迫られます。

消費税の納税義務が発生し手元に残るお金が減ってしまう可能性があります

これまで年間の売上が1,000万円以下で消費税の納税が免除されていた「免税事業者」のサロンが、お客様のためにインボイス登録をすると、「課税事業者」となり、消費税の納税義務が生じます。

例えば、これまで8,800円の施術で8,800円が売上だったのが、課税事業者になると、8,000円が売上、800円が預かった消費税という扱いになります。

この預かった消費税から、材料の仕入れなどで支払った消費税を差し引いた金額を、年に一度、国に納める必要が出てくるのです。

つまり、同じ売上でも手元に残る利益が減ってしまうという、経営の難しさに直結する問題です。

経理処理や事務作業の負担が今まで以上に増えてしまうという現実があります

インボイスを発行するためには、要件を満たした請求書や領収書の作成、その控えの保存、そして消費税の正確な計算と申告といった、新たな事務作業が発生します。

施術や接客、集客で忙しい中、慣れない経理作業に時間を取られることは、個人で経営しているネイルサロンにとっては大きな負担です。

この事務作業の煩雑さが、「もう辞めたい」という気持ちに拍車をかけてしまう要因の一つと言えるでしょう。

「辞めたい」と本気で思う前に一度立ち止まって確認!インボイス登録は本当に必要か?

インボイス制度が難しいからといって、すぐに「登録しなければ」「辞めなければ」と結論を出すのは早計です。

あなたのサロンにとって、本当にインボイス登録が必要なのか、冷静に判断するためのチェックポイントをご紹介します。

この判断が、今後の経営を大きく左右します。

コラム:「益税」って何?免税事業者のメリット

「益税(えきぜい)」とは、本来は消費者が負担し、事業者が国に納めるべき消費税が、免税事業者であることによって、納税されずに事業者の利益となっている状態を指します。

例えば、お客様から8,800円(うち消費税800円)を受け取っても、免税事業者はその800円を納税する義務がありません。

これが免税事業者でいることの大きなメリットの一つでしたが、インボイス制度の導入は、この益税を問題視する側面もあると言われています。

あなたのお客様は誰ですか?顧客層をもう一度詳しく分析してみましょう

まずは、顧客台帳や予約システムの履歴を見返して、お客様の層を分析してみてください。

お客様のほとんどが主婦やOL、学生といった一般の個人客で、領収書を求められることがほとんどない場合、無理にインボイス登録をする必要性は低いかもしれません。

一方で、近隣の会社の経営者や、フリーランスで働く方が多く来店し、頻繁に「宛名は会社名で」と領収書を求められる場合は、登録を前向きに検討した方が良いでしょう。

インボイス登録をしない「免税事業者」のままでいるメリットとデメリット

インボイス登録をしない最大のメリットは、これまで通り消費税の納税が免除され、事務負担も増えないことです。

売上が1,000万円以下であれば、受け取った消費税分はそのまま利益(益税)となります。

デメリットは、前述の通り、経費で処理したいお客様や、法人契約の取引先を失う可能性があることです。

このメリットとデメリットを天秤にかけ、どちらが自分のサロンにとって影響が大きいかを慎重に判断する必要があります。

もし登録しないと決めた場合に起こりうるお客様からの質問を想定しておく

「インボイス登録はしない」と決めた場合、お客様から「インボイスは発行できますか?」と聞かれる場面が出てくるかもしれません。

その際に、「できません」とだけ答えるのではなく、「当サロンは免税事業者でして、インボイスの発行は行っておりません。申し訳ございませんが、ご了承いただけますと幸いです」と、丁寧にお伝えできるよう準備しておきましょう。

誠実な対応を心がけることで、お客様の理解を得やすくなります。

【ステップ1】インボイス制度に対応すると決めたなら最初にやるべき登録申請の手順

様々な検討の結果、「インボイス登録をしよう」と決意したあなたへ。

ここでは、具体的な申請手続きのステップを解説します。

難しく考えず、一つずつ進めていきましょう。

今は便利なツールがあるので、思ったよりも簡単に完了できます。

コラム:e-Tax(イータックス)って何?

e-Taxとは、国税に関する申告や納税、申請・届出などの手続きを、インターネットを利用して電子的に行うことができるシステムです。

メリット

  • 税務署に行かなくても、24時間いつでも自宅や事務所から手続きができる
  • 書類の郵送代や交通費がかからない
  • 還付金の処理が早い場合がある

デメリット

  • 初回利用時にマイナンバーカードの読み取りなど、事前準備が必要
  • パソコンやスマートフォンの操作に慣れていないと戸惑うことがある

インボイス登録だけでなく、確定申告でも使えるので、この機会に使い方に慣れておくと非常に便利です。

まずはe-Taxを使ってオンラインで「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出します

インボイス登録の申請は、国税庁のウェブサイト「e-Tax(イータックス)」を利用してオンラインで行うのが最も早くて便利です。

パソコンやスマートフォンから申請が可能で、マイナンバーカードがあればスムーズに手続きを進められます。

もし操作に不安がある場合は、税務署の窓口で相談に乗ってもらうこともできますが、まずはe-Taxのサイトを覗いてみることをお勧めします。

申請書自体は、氏名や住所、事業者情報などを入力するシンプルなものです。

登録が完了すると国税庁から「登録番号」が通知されますので大切に保管してください

申請書を提出してから、通常は数週間から1ヶ月半ほどで、税務署での審査が行われ、問題がなければ登録が完了します。

完了すると、あなたの事業者専用の「Tから始まる13桁の登録番号」が通知されます。

この番号は、今後インボイスとして領収書や請求書を発行する際に必ず記載が必要になる、非常に重要な番号です。

通知書は絶対に紛失しないよう、大切に保管しておきましょう。

あなたの登録情報は国税庁の公表サイトで誰でも検索できるようになります

登録が完了すると、あなたの登録番号や氏名(または屋号)、登録年月日といった情報が、「国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト」というウェブサイトで公開されます。

これは、取引先があなたの登録情報を確認できるようにするための仕組みです。

お客様や取引先から「本当に登録事業者ですか?」と聞かれた際には、このサイトで確認してもらうことができます。

【ステップ2】難しいネイルサロン経営を維持するための価格設定を見直す具体的な方法

インボイス登録をして課税事業者になると、消費税の納税負担が増えます。

その負担をどこで吸収するか、価格設定の見直しは避けて通れない、非常に難しい問題です。

ここでは、お客様に納得していただきつつ、経営を維持するための価格設定の考え方をご紹介します。

コラム:消費税の計算が楽になる「簡易課税制度」も検討しよう

課税事業者になると消費税の計算が必要になりますが、実は計算方法には2種類あります。

  1. 原則課税:預かった消費税から、支払った消費税を正確に差し引いて計算する方法。経理が複雑。
  2. 簡易課税:預かった消費税に、業種ごとに決められた「みなし仕入率」を掛けて、簡単に納める税額を計算する方法。ネイルサロンなどのサービス業は「第五種事業」に該当し、みなし仕入率は50%です。

年間の課税売上高が5,000万円以下などの条件がありますが、事務負担を減らしたい場合は、簡易課税制度の選択を検討する価値があります。

消費税分を単純に上乗せするのか、それとも価格は据え置くのかを決めます

選択肢は大きく分けて2つあります。

  1. 現在の価格に消費税分(10%)を上乗せして値上げする方法。
  2. お客様の負担を考えて価格は据え置き、サロン側で消費税を負担する方法。

例えば、これまで8,000円だったメニューを8,800円にするのか、それとも8,000円(内税)のままにするのか、という選択です。

サロンの利益を確保するためには値上げが理想ですが、顧客離れのリスクも伴うため、慎重な判断が求められます。

値上げをする場合は「本体価格+税」の外税表記にすると受け入れられやすいです

もし値上げに踏み切る場合、これまで「8,000円」と内税で表示していたものを、「8,000円(税込8,800円)」や「本体価格 8,000円 + 税800円」といった外税表記に変えることをお勧めします。

これにより、値上げがインボイス制度と消費税に対応するためのものであることがお客様に伝わりやすくなります。

「単に値上げした」というネガティブな印象を和らげる効果が期待できます。

ホットペッパービューティー」などの予約サイトのメニュー設定も、税抜価格と税込価格を併記するように変更しましょう。

価格を据え置く場合は材料費の見直しや経費削減を徹底的に行います

お客様への影響を最優先に考え、価格を据え置くと決めた場合は、そのままだと利益が圧迫されて経営が難しくなるため、他の部分でコストを削減する努力が必須です。

例えば、ネイルの材料を仕入れている業者を見直し、より安く高品質な材料を提供してくれる新しい業者を探す、電気代や水道代などの固定費を節約する、広告宣伝費の使い方を見直すなど、あらゆる経費を洗い出して、無駄を徹底的に省く必要があります。

【ステップ3】お客様への伝え方で失敗しない!トラブルを避けるための告知と例文

価格改定やインボイスへの対応について、お客様にどのようにお伝えするかは非常に重要です。

伝え方一つで、お客様の反応は大きく変わります。

ここでは、お客様との良好な関係を維持しながら、スムーズに移行するための告知方法と具体的な例文をご紹介します。

最低でも1ヶ月以上前から店頭やSNS、ホームページなどで丁寧に告知を始めます

価格の変更やインボイスに関するお知らせは、突然行うとお客様を驚かせてしまいます。

変更を実施する日の、最低でも1ヶ月以上前、できれば2〜3ヶ月前から告知を始めるのが理想です。

具体的な告知方法

  • 店内の見やすい場所にポップを掲示する
  • Instagram」や「LINE公式アカウント」で繰り返し案内する
  • ホームページのトップにお知らせを掲載する
  • 予約確認メールに一文付け加える

時間をかけて丁寧に告知することで、お客様も心の準備ができます。

なぜ価格を変更するのか、その理由と感謝の気持ちを誠実に伝えることが大切です

ただ「値上げします」と伝えるだけでは、お客様は納得できません。

インボイス制度への対応に伴い、2025年10月1日より、消費税分を別途頂戴する形に価格を改定させていただくことになりました」と、まずは明確な理由を伝えます。

その上で、「大変心苦しいお願いではございますが、今後もより一層の技術・サービス向上に努めてまいりますので、何卒ご理解いただけますと幸いです。いつもご愛顧いただき、誠にありがとうございます」といった、誠意と感謝の気持ちを伝える言葉を添えることが、お客様の信頼を失わないための鍵となります。

領収書が必要なお客様への対応を事前にシミュレーションしておくことで慌てずに済みます

インボイス登録後は、領収書の発行を求められた際に、登録番号や税率ごとの消費税額を記載した、新しい形式のものを渡す必要があります。

手書きで対応する場合は、記載漏れがないように注意が必要です。

会計ソフトやPOSレジを導入している場合は、設定を変更すれば自動で対応した領収書が発行されるので非常に便利です。

Airレジ」や「スマレジ」などのタブレットPOSレジは、比較的安価に導入でき、インボイス対応の領収書発行はもちろん、売上管理や顧客管理も楽になるので、この機会に導入を検討するのも良いでしょう。

参考にしたい!インボイス制度にうまく対応している他のネイルサロンの事例紹介

自分一人で悩んでいると、「他のサロンはどうしているんだろう?」と気になるものです。

ここでは、インボイス制度という難しい課題に、うまく対応しているネイルサロンの実際の事例をいくつかご紹介します。

他店の工夫から、あなたのサロンで使えるヒントが見つかるかもしれません。

事例1:顧客のほとんどが個人客のため「免税事業者」を継続したサロンA

都心から少し離れた住宅街で、地域密着型の経営をしているネイルサロンAは、お客様の9割以上が主婦や近隣に住む個人客でした。

経費での領収書を求められることは年に数回あるかないか、という状況だったため、オーナーはインボイス登録をしない「免税事業者」のままでいることを選択しました。

お客様にインボイスについて聞かれた際には、「うちは個人のお客様がほとんどなので、登録はしていないんです」と正直に説明。

売上にほとんど影響はなく、これまで通りの経営を続けています。

事例2:値上げと同時に新サービスを導入し顧客満足度を高めたサロンB

オフィス街にあり、法人経営者や個人事業主のお客様も多かったネイルサロンBは、インボイス登録を決断。

消費税分の価格改定は避けられないと判断し、10%の値上げに踏み切りました。

しかし、ただ値上げするだけでなく、お客様への感謝を示すため、価格改定のタイミングで「高品質なケアオイルを使ったハンドマッサージ」を全てのメニューに無料で追加しました。

この付加価値の提供により、お客様は値上げに納得し、むしろ顧客満足度は向上。

結果的に顧客離れを防ぐことに成功しました。

事例3:クラウド会計ソフトを導入し事務作業の効率化に成功したサロンC

一人で経営しているネイルサロンCのオーナーは、施術や集客で手一杯で、これ以上事務作業が増えるのは耐えられないと感じていました。

そこで、インボイス登録を機に、月額料金制のクラウド会計ソフト「freee会計」を導入。

これにより、スマートフォンからインボイス対応の請求書を簡単に発行できるようになり、日々の売上入力も自動化。

確定申告の書類作成まで、経理にかかる時間が大幅に削減されました。

浮いた時間で新しいネイルデザインの開発に集中できるようになり、経営の好循環が生まれています。

インボイスだけじゃない!難しいネイルサロン経営を続けるための集客術と経営改善のヒント

インボイス制度への対応は守りの一手ですが、難しいネイルサロン経営を続けていくためには、攻めの姿勢も必要不可欠です。

インボイス対応で減ってしまったかもしれない利益を補い、さらにサロンを成長させるための、具体的な集客術や経営改善のアイデアをご紹介します。

コラム:SNS活用の注意点

InstagramやTikTokは強力な集客ツールですが、注意点もあります。

  • 更新を止めない:定期的な投稿がファンを増やし、アルゴリズムにも評価されやすくなります。
  • コミュニケーションを大切に:コメントやDMには丁寧に返信し、お客様との関係を築きましょう。
  • 世界観を統一する:写真の色味や雰囲気を揃えることで、サロンのブランドイメージが伝わりやすくなります。

ただ投稿するだけでなく、戦略を持って運用することが成功の鍵です。

InstagramやTikTokを活用して動画であなたのサロンの魅力を発信する

写真だけでなく、動画はネイルの輝きや施術の丁寧さを伝えるのに最適なツールです。

例えば、完成したネイルデザインを様々な角度から撮影したリール動画を「Instagram」に投稿したり、施術の工程をタイムラプスで撮影して「TikTok」で公開したりすることで、多くの潜在顧客にあなたのサロンの技術力の高さをアピールできます。

ハッシュタグ「#(地域名)ネイルサロン」や「#うるつやネイル」などを効果的に使い、まだあなたのサロンを知らない人に見つけてもらいましょう。

リピート率を上げるための「LINE公式アカウント」を活用した顧客管理術

新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかると言われています。

売上を安定させるためには、リピーターを増やすことが何よりも重要です。

そこで役立つのが「LINE公式アカウント」です。

お客様に登録してもらい、次回の予約におすすめのデザインを個別に送ったり、お誕生月にクーポンをプレゼントしたり、来店後のサンキューメッセージを送ったりすることで、お客様との繋がりを深め、再来店を促すことができます。

材料費や家賃などの固定費を徹底的に見直して利益体質を改善する

売上を上げる努力と同時に、コストを下げる努力も重要です。

ジェルやパーツなどの材料は、本当にその業者からの仕入れがベストなのか、定期的に見直しましょう。

複数の卸売サイト、例えば「ネイルパートナー」や「TAT」、「ネイルサプライ」などを比較検討し、同じ品質でもより安く仕入れられるルートを探す努力が必要です。

また、もし賃貸でサロンを経営しているなら、契約更新のタイミングで家賃交渉をしてみるのも一つの手です。

小さなコスト削減の積み重ねが、経営の難しさを和らげてくれます。

まとめ

最後に、この記事でお伝えした重要なポイントを振り返ります。

インボイス制度という大きな変化に直面し、「辞めたい」と感じるほどの不安を抱えているかもしれませんが、あなたは一人ではありません。

正しい知識と手順が、あなたのサロンを守る力になります。

インボイス制度は難しい課題ですが、あなたのサロンに合った対応策は必ず見つかります

インボイス制度への対応は、全てのサロンが一律ではありません。

お客様の層を見極め、「登録する」か「しない」かを冷静に判断することが第一歩です。

どちらの選択にもメリットとデメリットがあり、正解はあなたのサロンの状況によって異なります。

難しいと感じるかもしれませんが、情報を集め、じっくりと考える時間を取りましょう。

具体的なステップを踏んで行動すれば、事務負担やお客様への影響は最小限に抑えられます

もしインボイス登録をすると決めたなら、e-Taxでの申請、会計ソフトの導入、計画的な価格設定の見直しと丁寧な告知、という具体的なステップを踏んでいきましょう。

一つ一つ着実にこなしていくことで、漠然とした不安は解消されていきます。

特に「マネーフォワード クラウド確定申告」や「freee会計」のような便利なツールは、あなたの大きな味方になってくれます。

ネイルサロン経営の難しさを乗り越え、お客様に愛されるサロンを続けていきましょう

インボイス制度は、ネイルサロン経営における一つの変化に過ぎません。

この変化を、価格設定や業務効率、お客様との関係性を見直す良い機会と捉えることもできます。

新しい集客方法を取り入れたり、コスト削減を徹底したりと、経営者としてのスキルを磨くチャンスです。

この記事が、あなたが「辞めたい」という気持ちを乗り越え、これからもお客様に愛され、輝き続けるネイルサロンを経営していくための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次